ストイックな今宵の月

夕刻、クルマを運転中に見た月は、
切った爪のように細かった。
上りはじめの“爪の月”は、
いつもより２割り増し大きく見えた。

月の本当のかたちってどんなだろう。
小学生に夜空の絵を描かせると
大半が三日月を描くのだろうか。

太陽も星も姿かたちを変えないが、
月は七変化の天体。
新月、三日月、半月、満月と
肥えたり、スリムになったり
日日かたちを変えていく。

明日は新月になろうかというギリギリ
一歩手前、極細ペンですいと弧を
描いたような今宵の月。
その様相にある種のストイックさを
感じる。

触ると壊れそうなガラス細工のように、
繊細でデリケートな表情。

家に帰り着いてすぐさま西の空を
見上げたが、雲隠れした後だった。